>>>技術編3.【 精 米 】
|
|
|
|
精米とは、糠層(果皮)を取り除き、食味の向上、消化吸収の向上を目的として行われる。
通常は精米機内部に圧力を掛け摩擦の力で玄米の果皮を取り除く。摩擦熱が発生し通常は、穀温が20℃程度上昇する。
また、精米の際に、選別機等で米粒を精選し、混入している石や他の種、ゴミ等の異物を排除する。
|
▽精米機の種類 ……………………………………………………………………………
|
◇摩擦式精米機
|
米同士を狭い金属壁内にて圧力を掛けることで、摩擦で果皮をはぎ取る方式の精米機。短時間で効率良く精米が可能で一般的な精米機。
|
◇研削式精米機
|
砥石を回転させて米表面に傷を付けるようにして、摩擦式精米機で糠が剥がれ易くする。
通常は研削式単体で使用するのではなく、研削式の後に摩擦式を使用し、連座・連結にて使用する。
|
◇循環式精米機
|
摩擦係数を高くせず、同じ精米機を何度も循環することで、少しずつ果皮を取り除く方式の精米機。
摩擦係数が低いため穀温の上昇も低く、食味低下が低いとされる。反面、精米作業時間が数倍にもなり、作業効率が悪いため、大型精米工場には不向き。
|
◇家庭用小型精米機
|
摩擦式精米機の小型版。基本的には摩擦圧力で果皮を取り除くので、摩擦式精米機と同じ。搗精容量が小さいため時間が多く掛かり、穀温の上昇は多めである。
|
|
▽無洗米精米機 ……………………………………………………………………………
|
無洗米加工は、通常精米後に連続して行うことが多い。 加工には数種類の加工方法が存在するが、主に「湿式(水を使用するタイプ)」と「乾式(水を使用しないタイプ)」に分けられる。
湿式は設備が大規模となるため、大型加工工場が主である。小規模精米施設やコイン精米機の設備と一体化となっている場合は、乾式が主流。
|
◇湿式(水を使用するタイプ)の一例
|
白米に少量の霧状の水分を吹きかけ、糠を吸着させる媒体(タピオカ澱粉)を混ぜて攪拌し、糠分を取り除いた後、吸着材を分離し、温風で乾燥させる。
|
◇乾式(水を使わないタイプ)の一例
|
精米後の白米を、研磨機またはブラシを使用して物理的に糠分を除去する。白米表面の溝部の糠、遊離糠を除去する。
|
|
▽精米の種類 ………………………………………………………………………………
|
● 完全精米 通常店頭で販売されている状態の白米。(玄米の胚芽部、果皮(糠部)を全て除去した精米。)特徴として、食味に優れ、糠油分も無いため酸化も少なく、消化吸収に優れており、ごはんの香り、柔らかさ、色の向上に大きな利点をもつ。精米後は玄米時の重量のおよそ9割の重量となる。
● 分搗き(1分搗き〜9分搗き)分搗きの程度に応じて、1分搗き(玄米に近い)から9分搗き(白米に近い)まで。胚芽部や、果皮(糠部)が多く残ると、食味や、香り、保温器内での持ち、など大きく変化する要素となる。
しかし、栄養の観点からの利点は、白米とは比較にならぬ程大きく、最近では分搗き米を好む多くの方のニーズが増加している。
精米機にもよるが、精米圧力の調節で、自由に搗精度を変えることで、「栄養重視」「食味重視」等に調節できる。
しかし、欠点としては、糠部の油分が露出し空気に触れることで、“油分が酸化し易い状態”となるため、保存の注意や配慮が必要となる。この様な理由から、夏場にはあまりお勧めは出来ないと考える。
● 無洗米加工済み精米 無洗米加工機により、遊離糠が除去されており上記と反対の理由から日持ちは良い。
また、洗米作業が短縮されるため、労力の軽減となる。しかし炊飯時にはサッと1度程度濯いだ方がよい。無洗米加工時に温風乾燥してある場合には、含有水分量が低いため、炊飯時の水加減は多めにしないと、堅めごはんになる。また、しっかりと給水させることが必要。
|
|
▽精米と食味の関係 …………………………………………………………………………
|
精米作業を行うものにとっては、搗精度(精米の程度)は食味に大きな影響があるため大変重要な要素であり、永遠の課題でもある。
まず、玄米は「農産物」であり、収穫年度、生産地、栽培方法等により果皮(糠部)の厚さ、硬さ、等の条件が異なり、常に異なる。
糠層の下部に澱粉部との境界線の近くに甘味強いの層(糊粉層)が存在するが、この層をいかに残して、糠は取り除くかが、精米の大きな試練となる。
様々な研究が行われているが、甘味の強い層(糊粉層)は均一の厚みで存在するわけではなく、部分的に厚みが“厚かったり”また“薄かったり”とまちまちで、成るべく多くの糊紛層を白米に残して精米を完了することが最良である。
粉粉層を多く残すべく、搗精度を下げて(玄米に近く)精米すると食味と香りは低下し、搗精度を上げて(白く)精米すると、澱粉部だけの甘味の少ない米になる可能性がある。
最適の状態で精米を終了するように心がけたい。
また、搗精時の圧力が強すぎると、強度の弱い米粒は砕け、砕粒を多く発生してしまう。
元来、玄米時にも胴割れ粒等の混入率が根本にあるが、必要以上の搗精圧力は、精米を2〜5分割程度に粉砕する可能性が在るため注意が必要。
前項でも触れたが、搗精圧力不足は、糠部を完全に除去できぬ場合には、「白度の低下」「食味の低下」「炊飯後の日持ちの低下」「糠臭の発生」などの不良を引き起こす可能性もある。
|
コラム 「搗精後、直ぐに炊飯はしない?」
炊飯直前に精米することが、必ずしも良い結果を生む訳ではない。
ある実験を行った。
同じ原料の白米を2つ用意し、1つ目は2日前に精米し、2つ目は直前に精米した。
2つを同時に水に浸け、米が給水した水分量を計測した。
結果、直前に精米した白米より、2日前に精米した白米の方が、より多くの水分を吸収した。
理由を推測すると、精米時に穀温が上昇し、米粒の外周部では摩擦熱のため、細胞内に水分が少ない状態になったと推測される。 そのため、米粒の外周部と内部とが、水分のアンバランス状態となり細胞内への吸収が若干阻害された部分があるものと推測される。
2日程度の時間が、米粒の外周部と内部との水分量を一定に調整し、水分の吸収率が上昇したのではないかと推測される。
水分吸収率だけで、炊飯結果を断じる訳には行かないが、給水行程は炊飯作業にとっては大変重量な要素で在ることは確かなことである。
|
|
|