野外での炊飯のススメ

普段の生活からちょっとシチュエーションを変化させて、戸外で炊飯してみることもたまには楽しいことだ。

また、もっと進んで郊外まで出掛け、森の中で食事を作ることもとても気分がいい。
いずれにしろ重要な事は、「人間の五感をフルに使う」ということ。

「香り」や「音」などをいつも以上に敏感に働かせる事が重要だ!
すると自然に「心」も敏感になるだろう。

そんな簡単なアウトドア炊飯のススメ。


戸外(アウトドア)の炊飯では、「楽しむために行う」ものと、
「非常の際に行う」ではおのずと方法が変わってくる。
ここでは「楽しむために行う」を基本しながら進めて行くことにしよう。

また、ご飯を炊くために重要な条件が、加熱のための燃料の選択である。
薪などの自然物を利用するのか?
またはガスコンロやストーブなどの火力調節が簡単なものを利用するのか?
でも話は少し変わってくる。

他にも戸外(アウトドア)では、「慣れ」の程度が大きな差を生んでしまう。
室内ほど条件が一定ではないからだ。 

その辺りで大雑把な説明となってしまうので、許していただきたい。

初級編 野外で炊飯

エピローグ庭にテーブルを出して電気炊飯器を戸外に持ち出し、
延長コードでつなぎ炊飯するだけでも、立派なアウトドア炊飯である。
これだけでも気分は良い!それが炊き込みご飯でもあれば更に気分UPだ!
しかし、これでは簡単過ぎという人には次のSTEPへ

ファーストステップ


庭にテーブルをだして、カセットコンロを準備して、そこで炊飯してみよう!
準備するものは、カセットコンロ、蓋のある鍋、風除け、研いで浸漬した米、しゃもじ、鍋は普通に調理の際に使う「蓋のある鍋」でも十分炊飯は可能だ。

米は基本的に十分水分を含ませて(浸漬をして)、加熱が十分に行えれば、OK。
特に"これが出来なければならない"などと云うことは無い。

Act1)
点火して米と水を入れた鍋をコンロに乗せる。
風で火が飛ぶようであれば、風除け板を使い火が鍋に当たるよう調節する。
風が強い場合は、コンロを地面近くの低い場所へ設置し直す。
(地面に近いほど風は弱いため)沸騰までの時間は約10分を目安にして、10分より長ければ火力が弱く、逆に短ければ火力が強いと判断する。

Act2)
沸騰してから2分間持続し、弱火にする。
沸騰の目安は、蒸気の勢いで判断する。
蒸気が強く真っ直ぐに立ち上ることが沸騰の合図。
鍋の形状により、蒸気では判断出来ない場合は、「強い湯気」や「噴きこぼれ」が有れば沸騰している証拠。 弱火の時間はおよそ10分~17分程度であるが、鍋材質により違う。
立ち上る"香り"に細心の注意を払い、焦げる匂いの手前で消火する。鍋の蓄熱性が優れていれば、弱火の時間を短縮し、薄手であれば弱火の時間を長めにする。

Act3)
後は十分に蒸らしてからしゃもじで、ほぐしてから、再度蒸らして出来上がり。
飯盒(はんごう)では無い限り、「蒸らし」の際に、くれぐれも鍋をひっくり返したりしないように。

●Point1
基本的に「火力の調節」が野外での調理の最大のポイントである。
「カセットガス」、「プロパンガス」、「キャンピング用携帯ガス」、「ガソリンコンロ」、などツマミで火力が調節出来るものは、ほぼここまでのやり方で問題ないハズ。

●Point2
「赤子泣いてもフタ取るな?」 この言葉が忘れられず、炊飯している時にフタを開けてはいけない!
なんて思っている人も多いハズ。しかし、ちょっと開けて中の具合を見ても炊飯には何の支障も無い。でも、あまり頻繁に開けていると熱が逃げて、表面が加熱出来ない場合があると困る。
また、熱いのでヤケドに注意すること。
更に熱さのため、鍋自体を落としたり、ひっくり返したりする「事故」も起こる可能性"大"なので、結論から言うと見ない方が良いかもね!

セカンドステップ


ここでは、火力の調節をツマミ以外で行わなければならない薪(枝木)、炭、オガ炭、などを使って炊いてみよう。

準備するものは、かまど、薪や炭などの燃料、焚きつけ、しっかりと蓋のある鍋、研いで浸漬した米、火をつかむトングor手袋、うちわor火吹き竹、マッチ、クレンザー、しゃもじ。

「直火」の準備作業として、クレンザーを少量の水に溶いて、泥状にして鍋の外側に塗りつけ少し乾かして置く。
薪を燃す場合は鍋にススがこびり付く。
これをすることでススの落ち具合が全く違うので忘れずに!

作業の前に「沸騰まで10分-沸騰して2分-弱火15分-蒸らし15分」の加熱プロセスイメージを頭に入れてから作業開始。
基本的な加熱プロセスがあればβデンプンをαデンプンにする事(炊飯)ができる。
加熱量を調整しにくい燃料であるからこそ、このプロセスをしっかり理解して、いかにアジャストさせるかがポイントとなる。

Act1)
火を付けるor火を燃やす。火が熾きていない事には話にならない。
(火を付ける前に米研ぎ、浸漬を行って置く。火付け作業中にも浸透が進む様に。)
火の高さにも注意する。火床と鍋との間かくが広すぎると熱効率が悪い。

Act2)
かまどに米と水を入れた鍋を乗せる。(水加減は少し多めの方が失敗は少ない。)
火力は通常、最大にする。(火力の強さは、目安として約10分で沸騰する程度の火力となることが望ましい。)

また、米を水に十分に浸す時間が無かった場合には、火力を抑え目にして、15分程度で沸騰する様な火力に調整する。(給水時間を確保するの意)

火力の調節が予定通り行かない場合には、後の行程で調整するよう心がける。

Act3)
沸騰点(弱火にするタイミング)を見極める。
密閉の良い鍋にて炊飯する場合、蒸気穴が無いので沸騰が判りにくい。

鍋の形状により、蒸気では判断出来ない場合は、「強い湯気」や「噴きこぼれ」が有れば沸騰している証拠。他にも鍋の蓋に棒の先を当て、もう一方の片方に耳を当てて音を聞くと、沸騰前は水分があり「ゴゴゴゴ」と高い音だが、沸騰後水が無くなって来ると「ゴボゴボ」と低くこもった音に変化する。湯気出なくなったら、既に水が無い状態なので、焦げる寸前の状態。

そのまま加熱すると焦げ飯となる。「香り」や「音」など五感をフル稼働して「焦げる手前」を察知するように努める。

Act4)
薪や炭を火床で離して、火力を抑える。
弱火(おき火)にする。弱火の時間はおよそ10分~17分程度であるが、それまでの加熱状態により異なる。それまで強火で加熱していれば、弱火の時間を短縮したり、火床から離す。
また、火力が十分でなければ弱火の時間を長めにする。
立ち上る"香り"に細心の注意を払い、焦げる匂いの手前で消火する。

Act5)
できれば「蒸らし」を行う。
無論「蒸らし」を行ったほうが食味は良い。
しかし、他の事柄とのタイミングで時間が無い場合には省略しても良い。というか仕方無い。
省略しても既に十分美味しいハズ。

応用編 非常時の炊飯

【電子レンジを使用する。】
電子レンジを使うことが、「非常時」とは思えないが、「一般的」とも言い難い?
現在は、「電子レンジ専用炊飯具」も販売されており、業務用のレンジ炊飯設備も存在する。
電気炊飯器が壊れたと想定して読んでもらおう。

Act1準備)
耐熱容器に洗米して水に浸漬した米を入れて、水を多めにして最大で加熱する。
米の量と出力(W)によって加熱時間は変化するが、「強火」の後、「弱火」をイメージして加熱する。

Act2炊飯)
当店で行った炊飯では、800wで5分加熱。
約2分30秒後には「沸騰状態」となり、「泡がブクブク!」の状態の後、容器から大量の「水蒸気と噴きこぼれ」が多い。
5分加熱後、水蒸気で水分が多く抜けてしまったので、お湯を少量(約30~40cc)を継ぎ足す。
300wに出力を下げて、再度5分間加熱。
加熱終了後、そのまま「蒸らし」を行う。
フタが密閉出来ないため、飛散水分が多いため、少し「かため」のご飯になるが、約15分程度で炊飯が終了することは利点。(浸漬済みの米を使用)


【「非常用炊飯袋」(ビニール製 米1合用)を使用する。】
震災後非常にポピュラーになった、「炊飯袋」。
洗米した米を袋に1合入れ、飲料水を線に合わせて入れる。(非常時であれば研がずとも大丈夫。)
入口を輪ゴムで縛り準備OK。
汚れた水でも構わないので、鍋に入れて火を付ける。
炊飯袋をその鍋に入れて、煮る。
沸騰状態20分で、加熱終了。
いざと云う時の為に常備して置いても損はない品ですね。


【「炊飯袋」(ポリエステル不織布製 米100g用)を使用する。】
上記の「非常用炊飯袋」と大きく違う点は、こちらは穴が空いており、鍋の水を炊飯水とする点。
炊飯の準備として、この炊飯袋に生米(100g)を詰める。(袋に詰める生米は洗米しなくとも良い。)大鍋に水を入れて(水の量は米が完全に水没する位)生米の入った炊飯袋を必要数量投入する。30分程度浸漬した後、大鍋をかまどに乗せ、点火する。火力は最大とし、沸騰後20分間煮沸する。大鍋の水で炊飯するため、鍋の水は飲料水とする。20分経過後、鍋から取り出し、炊飯完了。


【「空き缶350ml缶」を使用する。】
上記のような炊飯袋や鍋が無い場合、鍋の代用品として、アルミ空き缶を使用する。
また、同様に「かまど」が無い場合に、同じ空き缶をかまどの代用品として使用する。

Act1準備)
350ml空き缶1個の蓋を切り外し中を洗い、研いだ米150g、水180ccを入れる。
350ml缶では量的にギリギリなので、少し少なめでも良い。(500mlの缶を使うと細長い為食べ辛いため)アルミホイルをフタにする。
空き缶をもう1個使い、かまどとする。
燃料は「牛乳紙パック」(パックを開き幅2cm程に切ると燃やしやすい。)を缶の中に入れて燃やす。空き缶の側面に大きな穴を開けてそこから紙パックを投入できる穴を開ける。

Act2炊飯)
米を入れた缶を、かまど用の空き缶を乗せて、紙パックに点火をして燃やす。
気温や条件もあるが、紙パック3本分程度を燃焼させれば炊きあげる事ができる。
沸騰するとアルミ蓋が浮き上がるようになる。

その際は重石を乗せて対応する。沸騰後2~3分経過後、弱火に火力を調節する。
弱火で10分程度加熱したら、次第に底部が焦げて来るので、「焦げる匂い」が始まる。
(缶が細長いので対流しづらく、底の部分が焦げる事は仕方がない。)
その頃にかまどから降ろし、蒸らして炊飯終了。

缶の切り口から長めのスプーン等で、ご飯を器に移す際に、空き缶の縁で、指を切らぬよう注意をして行う。
燃料として「ロウソク」や「固形燃料」等も可能であるが、いずれも開口部を設けて酸欠に成らないようにする。 缶に開口部が足りないと酸欠となり、火が消える。また、風除け対策も行う必要がある。


【青竹を使用する】
青竹を使い、竹の一部を切り取り、竹筒の中に洗米した米を入れて、焚き火で加熱する。
炊き上がりに竹の香りが移り美味しい。但し火加減の慣れが必要ではあるが・・

Act1準備)
青竹(直径約15cm程度)の竹を節2つの長さ。
直径にもよるが節と節の間隔は35cm程度の長さが目安。
米を入れる節の一部をノコギリとノミを用いて米を入れる事が出来る程度の開口部を作る。
竹の切り取ったものは、フタとして用いる。水で濯いだ竹に、洗米、浸漬した米を適量入れる。

適量の目安は、竹の容積の1/3以下とする。(竹の直径等に応じて加減する。)
水を、米の量の1.2~1.3倍を目安に入れて、切り取った竹をフタにして嵌める。

Act2炊飯)
焚き火のそばに、水が溢れない様な向きに並べて焚き火で加熱する。
無論だが、竹は可燃物であり、油分があり良く燃える。
その為、表面は焦げても良いが、「燃やしてしまわぬ様」に焚き火を管理する。
距離と火の当たる場所を上手く調節すること。
多少は焦げても「竹の厚み」があれば、内部のご飯は炭にならない。
他の炊飯と同様に、竹の開口部からの湯気の立ち昇り方に注意を払いながら火加減を調節する。

加熱が終了し「蒸らし」が完了したと判断したら、火からはずし、竹をナタなどで割り、ご飯を取り出し食べる。
多少焦げた部分があっても、芯が残らず、竹の良い香りが楽しめれば「成功」である。

アクセス

アクセス COCOKARAへ行く方法は?
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